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| ギャラリー名 | 場所 | 壁面長 |
| 富士フォトサロン スペース1 | 東京銀座・数寄屋橋 | 47m |
| 同 スペース2 | 東京銀座・数寄屋橋 | 33m |
| 同 スペース3 | 東京銀座・数寄屋橋 | 26m |
| コニカミノルタプラザ ギャラリーA | 東京新宿・高野ビル4F | 29.8m (*) |
| 同 ギャラリーB | 東京新宿・高野ビル4F | 31.2m (*) |
| 同 ギャラリーC | 東京新宿・高野ビル4F | 45.0m (*) |
写真展を企画するにあたって、予め作品を展示するフォーマットを考えておく必要があります。
例えば、大四切プリント(35cm×28cm)を木製フレームにマット加工して展示する場合を考えてみましょう。
作品がプリントされる部分は、35mmフィルムをノートリミング・横位置でプリントすると仮定して、33cm×22cmになります。このプリントを木製フレームに収める場合、マット加工等により余白部分を取る必要があります。上下左右10cmづつ取ると仮定して見積もると53cm×42cmになります。これに合うサイズのフレームは大衣(だいころ)という形式で52cm×40cmになります。
このフォーマットで作品を並べることを想定し、ギャラリーの壁面長を考慮して作品数を決定します。例えば、上記フォーマット・作品は全て横一列に展示・フレームの間隔10cmで、壁面長30mのギャラリーに並べるケースでは、作品数は約48点になります。
また、写真展では、作品以外に写真展の背景や作者略歴を説明したパネル等も展示する必要がありますので、これらが占める長さも予め使用する壁面長を計算する際に考慮しておく必要があります。
ギャラリーで実際に開催している写真展で、展示方法・展示点数・作品のプリントの大きさとフレームの大きさ・作品以外の説明資料が占める大きさ・等をチェックしてみると、参考になるかと思います。
写真展は以下の通り様々な費用が発生します。
作品の数だけプリントが必要ですしカラープリントの場合は単価も高いので、この部分が一番費用がかかります。ラボ等に頼む場合は、「写真展を行うためにプリントをお願いしたい」と言うと、通常価格よりも安くプリントできる場合があります。(ギャラリーに相談し紹介していただくのがよいでしょう) また、自分で暗室を持っている方は、この部分でかなりコストをセーブできます。 出来れば全て自分で仕上げたいものです。
また、デジタル処理を行い、カラープリンターで印刷する方法もあります。この場合はかなりコストをセーブできます。尚、メーカー系のギャラリーによっては、自社のカラープリンターで印刷する場合に優遇してくれる可能性もあります。逆に、競合他社の製品は使えない場合もありますので、注意が必要です。
これも作品数分の費用が発生しますので、この部分を安く出来るとコストをセーブできます。ギャラリーによってはフレームを貸し出してくれる場合があるので、相談されるとよいでしょう。 また、まめに画材店等を回ってみると、フレームを特売している場合がありますので、このような機会にまとめて購入しておくという手もあります。 余談ですが、私は'89年の写真展の時に、ある画材店で特売していた大衣の木製フレームを40セット単価2500円で購入しました。合計10万円かかりましたが、既に4回の写真展で使用しましたので、最終的にはかなり安くつきました。 逆に、フレームは作品の印象をかなり大きく左右しますので、思い切ってこの部分にお金をかける方法もあります。この辺りは予算との相談になります。
マット加工は自分で行う事もできますが、自信がある方以外は東急ハンズやPhoto
Gallery International等の専門業者にお願いするのが無難です。自分でやってみると分かりますが、なかなかまっすぐにカットできない場合が多く、失敗した場合はマット自体が無駄になりますので、最終的に高く付いてしまいます。
写真展背景と作者略歴を説明したパネル、及びそれぞれの作品の下に付ける説明です。ギャラリーによっては無料で制作してくれる場合もあります。別途費用を負担しなければならない場合はかなりの費用がかかりますので自分で制作した方がよいでしょう。パソコンとプリンターで出力し、のり付きの発砲スチロール製パネル(貼れパネ)に貼るだけでも、それなりの仕上がりになります。
銀座・渋谷・新宿等の一等地で、メーカー系写真ギャラリーと同等の壁面30mのギャラリーを1-2週間借りた場合は、数十万円から100万円程かかります。メーカー系のギャラリーでは広報の一環として写真文化の向上を目的としてギャラリーを運営しており、審査が厳しいかわりに、レンタル料金は無料になっています。
レンタル料金は発生しないのですが、コストの締め付けが厳しくなっているのはどこも同様です。ギャラリーによっては期間中の経費を出展者にお願いせざるをえない場合もあります。予めギャラリーに確認するのがよいでしょう。
ギャラリーによってはギャラリー側がポストカード作成の経費を負担し、作成してくれる場合があります。また、ギャラリー側が制作して経費を出展者が負担する場合と、出展者が自分の経費負担により自分で制作する場合もあります。 最近は写真雑誌等でも個人でポストカードを制作してくれる会社の広告が出ていますので、自分で制作する場合は依頼する方法もあるでしょう。この際、写真展案内状は一般のポストカードよりも複雑なデザインになることが多いので、印刷会社が版下制作に対応できるかどうかをサンプルを提出して予め確認しておくとよいかと思います。通常、印刷部数は2000-3000部必要です。
知り合いの人達に案内状を送付するための費用です。以下の費用が発生します。
(送付料 + 封筒代) × 人数
ポストカードをそのまま送付してももちろん構いませんが、オープニングパーティ(後述)の案内や、宛名書きされていない未使用のポストカードを相手に渡したいこと等を考えると、やはり封筒に入れて送るのが一番よいでしょう。
オープニングパーティとは、写真展開催初日等に会場又は近くのレストラン等で行うパーティです。写真展開催にあたってお世話になった方々や友人達に写真展会場に来ていただき、簡単な軽食を取ってリラックスしていただきながら自分の作品を見ていただく出入り自由のパーティです。実際にやってみると大変楽しいものです。
ギャラリーによっては、飲食物でギャラリーが汚れてしまうのを避けるためにオープニングパーティ不可としているところもありますので、事前にギャラリー側に相談することをお勧めします。参考までに、以下は参加人数50名の場合の見積もりの例です。
| 項目 | 単価 | 個数 | 費用 |
| 宅配ピザ(16インチ) | 4,000円 | 10個 | 40,000円 |
| 缶ビール(350ml) | 250円 | 80個 | 20,000円 |
| ジュース (2.0 l) | 250円 | 4個 | 1,000円 |
| 割り箸・紙皿・紙コップ・他 | 2,000円 | ||
| 合計 | 63,000円 |
尚、全て自分で負担しようとせずに、参加者一人当たり1,000-2,000円程度の参加費用を負担していただく方法もあるでしょう。
作品を宅急便で送る場合は送付手数料、芳名帳、コメントノート、テープ、画鋲、期間中に会場にスタンバイする際の食費、オープニングパーティや写真展期間中のフィルム代、等、結構色々とかかります。数万円程度を見ることをお勧めします。
申込書の入手は簡単です。写真ギャラリーの受付で、「ここで写真展を行いたいのですが、申込書はありますか」と尋ねてみて下さい。審査によって写真展を受け付けているギャラリーでは展示申込書を用意していますので、入手できます。尚、ギャラリーによっては、アマチュア写真家の申込みを受け付けていなかったり、自社製品ユーザーのみに限って受付けている場合もありますので、この点は注意が必要です。
尚、ウェブサイトでも入手可能な場合があります。
審査に提出するプレゼン資料作成には十分に手をかけましょう。
例えばスライドを白枠に固定し通常のスライドキャリアに入れた状態で(または、プリントをプレゼン用バッグに入れただけの状態で)作品を提出し、簡単な作品説明をワープロで打っているだけ、といったプレゼン資料では、審査する側からすると、作品に対する真摯な態度も、審査員の方々に対する誠意も感じられません。
プレゼン資料は、自分の作品に関する全てを語るものです。写真展審査の際は、審査員の方はプレゼン資料によってのみ申込者の作品を判断し、どのような写真展になるかを想像し、審査を通過させるかどうかを決定します。申込みの際に、ギャラリー側に自分の作品について言葉を多くして語っても、それがプレゼン資料に反映されていなければ何にもなりません。 プレゼン資料の制作は、どのような狙いでこの写真を撮っているか、再度自分で問い直してみる絶好の機会でもあります。 詳しくは「プレゼン資料って何ですか? どのような点に注意して制作を進めればよいですか?」を参照下さい。
「プレゼン」とは「プレゼンテーション」の略です。「提出・発表・表現」といった意味があります。言葉の通り、自分の作品の狙いを示すための資料、ということになります。通常、プレゼン資料は以下の構成になります。
ポートフォリオとは、簡単に言えば「作品集」です。海外で活躍しているフォトグラファーにとってポートフォリオの出来がそのまま仕事に結びついていると言われています。実践的な米国のアートスクールの写真科ではポートフォリオの作り方とプレゼンテーションの方法を徹底的に教えるそうです。日本でもポートフォリオづくりに力を入れる写真家が増えてきました。一旦優れたポートフォリオを作れば、自分で多くを言葉で語らなくてもポートフォリオがそのまま作品を語ってくれます。
写真展審査でも、ポートフォリオは何よりも重要です。同じ写真でも、装丁をちょっと工夫するだけで素晴らしく見栄えがよくなります。大きいカメラ専門店ではポートフォリオを制作するための様々な材料を用意していますので、使ってみましょう。いくつか例を挙げてみます。
この場合のプリントは写真展に展示する作品同様、必要なトリミング・補正・覆い焼き等をしっかり行う必要があります。 ポートフォリオバインダーは、画材店や、銀一等の写真機材専門店等で売っています。 作品をイメージしやすいので、予算が許せばこのようなポートフォリオを制作したいところです。 カラープリンターで印刷する方法もありますが、その場合はカラープリンターでの印刷クオリティと表現意図が一致している必要があります。
上記の派生型です。ポートフォリオケースは1-2万円程しますが、この方法では若干安く仕上げられます。
スライド作品をそのまま使用する方法です。黒いスライドマウントボードと、黒いスライドマウントを組み合わせる事で、単にラボから返ってきたスライドマウントを提出する場合よりも、全体的に見栄えがかなり向上します。また、新たにプリントを行う必要がないので、比較的安価に作成する事ができます。マウントボードは、専用収納ボックスに入れます。
原版をそのまま使用するので取り扱いには十分に注意する必要があります。できれば、ガラス製のスライドマウントを使用したいところです。 仮にポートフォリオ自体を紛失した場合は、原版が全て失われますので、リスクが高い方法と言えます。 また、35mmフィルムの場合はルーペを使用しなければ作品がよく見えない点もデメリットです。 むしろ、ポートフォリオ原版保管方法の一種と考えればよいでしょう。
写真展全体の狙いとそれぞれの作品の説明を記述します。作品の説明を行う際には、ポートフォリオの各作品と対応する形で説明文を付けます。 それぞれの作品に通し番号を付ける方法もありますが、各作品の画像をワープロに貼り付けて説明資料を作ると分かりやすいでしょう。
主に写真に関する経歴の他、連絡先等を記述します。
写真展に関連する資料があれば添付します。私の場合、'98年に行う写真展は海外で撮影した様々な景色がテーマになっているため、審査の時には撮影旅行の旅行記を補完資料として添付しました。
ムシのよい話のように聞こえますが方法はあります。ミニコミ展です。例えば、近所の喫茶店にお願いして壁面に写真作品を展示するのも立派な写真展です。私は学生時代に写真部に所属していたのですが、この写真部ではOBの方達のサポートにより2年生は学校の近くの喫茶店で1週間個展を行うことになっていました。壁面長は約8mでしたが、どのように自分の作品で喫茶店の壁面を埋めていくのかを色々と考えた経験は現在でも非常に役に立っています。
私が1988年の夏に初めて開催した個展もミニコミ展でした。当時、勤務していたオフィスが築地にあり、コダクロームを常用していた関係で、現像やプリントはいつも銀座の「コダックイマジカ銀座」(現在のシグマラボ)にお願いしていました。 コダックイマジカ銀座では、当時受付カウンターの横にある2m×3m程のボードを使用して1ヶ月交代で写真展を行っていました。 ある日、いつも通り現像の上がりを受け取った時に、コダックイマジカの方から「永井さん、来月ここで写真展をやってみない?」と声を掛けられたのが、最初の個展のきっかけでした。
この時に展示した作品は10点で、かかった費用は10点分のプリント代(コダックイマジカ銀座で割引いていただき、比較的安くプリントできました)、フレーム代、及びマット加工代でした。 合計7万円程であったように記憶しています。 このようにして行った写真展も、立派な写真のキャリアの一つになります。
他に、スポンサーを付ける方法もあります。
例えば、ホームページで写真を発表する等の写真活動を行うことで、思わぬご縁を得られることがあります。
私の場合、写真展の開催方法を調べていたある会社の営業部の方が、たまたま私のホームページを見つけられ、これがご縁で写真展を開催したことがあります。
また、写真コンテストに入賞する方法も有効です。写真コンテストによっては、写真展を開催する権利を賞として設定している場合がありますので、このような機会を利用する方法があります。
実は私も、第2回目と第3回目の写真展にあたっての審査は、それぞれ3−4回落選して作品を撮り直した末、やっと開催できました。 一般に、審査に落選した理由として以下が考えられます。
写真展では、人に強いメッセージを伝えられる写真が40点以上必要ですが、他人が見てもその表現意図が伝わらないレベルの写真を審査に出しても審査には通りません。 単に撮影に時間をかければよいというものではありませんが、やはり撮り込みは十分に行う必要があります。 少なくとも、「このテーマに関しては他の誰にも負けない」、と言い切れる程度の撮り込みを行った状態で審査に臨みたいものです。
写真展では、テーマに絞り込んで写真作品を厳選し、写真展全体を構成する必要があります。逆に、その写真が加わる事で写真展の狙いがボヤけてしまうような作品を、写真展の点数合わせのために加えてしまっては本末転倒です。テーマが拡散した作品を100点集めるよりも、テーマを徹底的に絞り込んだ作品を10点集めた方がはるかにインパクトが強くなります。 俳句や詩等も言葉を削り洗練していくことによりその美しさが昇華されていきますし、ビジネス文書や新聞の記事等も簡潔明瞭さが求められます。写真も同じです。 むしろ、大量生産的に安易な作品を多量に作れてしまう写真だからこそ、セレクションを厳しくすべきなのではないかと思います。
作者の写真に対する姿勢と写真を見ていただく方に対する誠意はプレゼン資料に現われます。 また、プレゼン資料も独り善がりにならず、審査員の方々に読んでいただく資料は分かりやすさを第一に考えて作成する必要があります。詳しくは「プレゼン資料って何ですか? どのような点に注意して制作を進めればよいですか?」の項をご参照下さい。
写真展審査に落選するとその場ではがっかりするものですが、落選自体は必ずしも悪い事ではありません。 落選した理由を親切に教えてくれるギャラリーもありますので、そこで得られたアドバイスを元に再度撮り込みを続ければ必ず作品はよくなります。 審査に申込んだ時点で既にある程度のレベルを持った作品は数十点集まっているのですから、この中の作品を何点か差し替えるだけでも全体の質は向上します。 苦しみながら切磋琢磨する間にも作品の質と写真の腕は知らぬ間に向上しています。 落選は成長のための大きなチャンスです。お互い、頑張りましょう。
多くの写真好きの方々にとっては自分の写真展開催は夢だと思います。
当たり前のことですが、夢を実現するためにはまず最初に自分の夢を具体的に持つことも必要ですね。
自分はどのような写真展を行いたいのか、具体的にイメージしてみてはいかがでしょうか?
私が写真展開催のために審査落選を繰り返しながら準備を進めていた際、最初に写真展を開催して自分が開催者として会場でお客さんに接している場面を具体的にイメージしました。具体的に明確にイメージできるようになってから、実際に写真展を行うためには自分は何をいつどのように行う必要があるのか、行うべき事をイメージとして具体的に固めていき、それらを試行錯誤をしながら実行していきました。潜在意識に働きかけるイメージトレーニングの一種ですが、このような方法は夢にチャレンジする際には大変有効な方法です。 スポーツの世界では、イメージトレーニングは勝負の瞬間に無駄な力みを取り去り最高の力を発揮するために行われることが多いようです。イメージトレーニングは、写真展準備を進める上で無駄なマイナス思考を取り去り意識を写真展開催に向けてプラスの方向に集中させるために行います。
また、言葉は非常に強い力を持っています。以前、社会的にも大きな話題になったある宗教集団が、修行として所属信者に同じ言葉を何千回も唱えさせることを行っていましたが、ことの是非はともかく、潜在意識にインプットさせる方法としてこれは非常に理に適った方法です。 何千回も唱えるのはちょっと非常識として、試しに一ヶ月間、例えば毎朝目が醒める度に「よし、写真展をやるぞ」と一言声を出して言ってみる習慣をつけてみて下さい。潜在意識に対する働きかけは想像以上に大きいものがあります。
逆に、否定的な言葉は知らない間に潜在意識にインプットされ、夢を実現させるための大きな障害になります。例えば「どうせ写真展なんてできっこない」という考えが頭に浮かんだとしても、それを口に出す事で潜在意識に非常に大きなマイナスの働きを与えてしまいます。「どうせ自分は....」という否定的な言葉は、「自分はこのようにすることで将来このようになりたい」という建設的な言葉に変えていきたいものです。
また、常に自分らしく生きるということも大切です。 ともすると、写真で活躍している他人と、審査落選を繰り返し写真展をなかなか開催できないでいる自分を比較してしまい、焦り、必要以上に卑下してしまうこともあるかもしれませんが、自分を見失うことが夢を実現するにあたっての最大の敵です。 「他人は他人」「世の中に一人しかいない自分は自分らしく自信を持って生きる」と思うことが、自分を見失わず、夢を実現するためには重要なことではないかと思います。
常に前向きに、明るく、楽しく、時には適度に息抜きをして、焦らず着実に現在の道を進みながら日々を過ごす。遠回りのようですがこれが夢を実現するための近道です。 写真展開催で必要なことは、自分らしさを出せるテーマに絞って、着実に地道にテーマを追いかけていき、その結果を他人に「見ていただく」ようにまとめることです。 特に、最近はカメラの自動化によってプロの写真家と初心者の技術的な差は以前よりも小さくなってきていることもあって、写真を始めて2ー3年の方が才能を開花させてメーカー系ギャラリーで個展を開催される方もおられます。 夢は諦めた時点で夢に終わります。 追いかけ続ける事で、夢は必ず実現できます。頑張りましょう。