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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
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■■■今回のポイント■■■
今回は、第五の心得から第七の心得までの総集編です。


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 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。

 7つの心得を順番に紹介しています。(詳しくは下記参照)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html

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第050号:2005/10/16
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■■■目次■■■
【第五の心得から第七の心得までのまとめ】
【皆様からのメッセージ】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】

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【第五の心得から第七の心得までのまとめ】
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【第五の心得】
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『自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品セレクション
が撮影以上に大切と知っている』
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衝動の赴くままに撮影し、一切セレクションせずに、「これがオレ
の表現したかったことだ!」と発表しても、作品にはなりません。

写真はその人にとっての真実、つまり自分そのものを写します。
自分自身が自分の作品に対して厳しくしなければならないのです。

言い換えれば、セレクションとは、「選ぶ」作業ではなく、「捨て
る」作業です。作品の完成度は、いかに不十分な作品を捨てるかに
かかってきます。

プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーには、自分の作
品に対して厳しい姿勢を求めらます。

例えば、自分が写真展に行ったときのことを考えてみてください。

興味が沸かない作品は素通りしますよね。

何故その作品を評価できないかを徹底的に考えたり、写真展会場に
いる作者に声を掛けて作品の意図を理解できるまで問いただすこと
は、通常行いません。

マザー・テレサは、
 「愛の対極にあるのは、憎しみではなく、無関心である」
と語りました。

自分が写真展を開催している場合も同じです。写真展の来場者は、
あなたの作品に興味が沸かないとそのまま素通りします。

人は、自分が関心を持てない他人の作品には無関心であるにも関わ
らず、他人には自分の作品に最大限の関心を持って欲しいと思って
しまうのです。

だからこそ、自分自身が一番厳しい批評家として、自分の作品をセ
レクションしなければならないのです。

しかし、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、他
人や市場の評価を作品セレクションの基準とすべきでないのです。

何故でしょうか?

職業的プロフェッショナル・フォトグラファーは、クライアントの
要求・要望・市場の評価が写真セレクションの絶対基準です。写真
はお金を得るための手段だからです。

プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーにとって、写真
は表現手段であり、写真評価軸はあくまで自分自身の厳しい作品選
定基準です。市場評価は作品セレクションの基準ではありません。

生前のゴッホは、作品は全く評価されず極貧の生活を送っていまし
た。評価されるようになったのは、死後10年以上経ってからです
が、死の直前の2年間の素晴らしい作品を見ると、創作活動とその
時点の市場評価は全く別物であることがよく分かります。

自分の厳しい選定基準をクリアしていれば、市場が受け入れなくて
も、それは問題と考えるべきではないのかもしれません。

以下は英国の宰相・ウィンストン・チャーチルの言葉です。

 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。

セレクションの一つの基準は、自分自身が心の底から感動している
かどうか、かもしれません。



さて、逆説的に言えば、セレクションは必要悪です。

撮影の段階で、作品の最終イメージが確定し、その通り作品を仕上
げる実力を持っていれば、撮影した時点で作品は出来上がっている
筈であり、セレクションは不要です。

しかし残念ながら、我々は必ずしも写真の天才ではありません。

また、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに対して
は、他人は誰も厳しいことを言ってくれません。

そこでセレクションという作業が必要になってきます。

さて、何が写真のセレクションを難しくしているのでしょうか?

それは、自分自身の作品への思い入れ、被写体への思い入れ、迷い、
エゴ等です。

やはり自分の作品に一番甘いのは自分なのです。

我々は自分の作品の隅々に責任を持たなくてはいけません。

一箇所でも納得できない場所があれば、それは作品として世の中に
出すべきではありません。

セレクションは、撮影した写真作品から技術的未熟さやエゴを洗い
流すために必要な作業である、と考えることも出来ます。

参考までに私が心掛けている方法は以下の方法です。

・今、自分が死んで、作品だけが残った。
・人々はその作品で自分という人間を評価することになる。
・その場合、自分は、ここでセレクションした作品のみで自分とい
 う人間を評価されて、納得できるのか?

しかし、難しいのが実情です。例えば、統一テーマで写真展を行う
場合です。

数十点の作品で流れを作る際に、流れの中で作品に強弱を付ける必
要も出てきます。

また同一テーマで数十点の作品を揃えるには非常に高度な技量が必
要で、どうしても弱い作品も出てきます。

私自身が出来ているか、というと、回答に詰まります。

しかしながら、それでもやはり、このような心掛けを常に持って作
品を選んでいかなければならないのではないか、と思っています。



【第六の心得】
───────
『作品発表の場を、自分で創る』
───────
何故、我々は作品発表の場を創るか?

それは他人に作品を見せることで、作品自身が成長するからです。

本来、作品はそれ単体で評価されるべきです。

しかし、自分の知り合いに作品を見せる場合、「あなた」という個
人に対する評価も含めて、作品が評価されます。

自分との関係性が低い人ほど、作品はそれ単体で評価されます。

従って不特定多数の人達に作品を見ていただき、忌憚のない評価に
晒すべきなのです。厳しい評価で揉まれることで作品が成長します。

他人の反応は、他人が作品を評価する場に身を置けば無言で空気と
して伝わります。

それを感じ、作品をどのように成長させるのかを考えることが重要
であり、このプロセスを通じて、作品は成長していきます。

作品発表の方法は色々ありますが、私は写真展(個展)を中心に考
え、補足的にホームページで写真展で発表した作品を常時アクセス
できるようにする、という方法をお勧めします。

写真展では、作品を見ていただける方と同じ空気を共有できるから
ですし、ホームページでは低コストで不特定多数の方に見ていただ
けるからです。

写真展は誰でも開催できる可能性があります。自由に自分の時間が
使えるプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーこそ、
写真展開催の近道にいます。

但し、相当のエネルギーを注ぎ込む必要があります。

写真展開催の具体的な方法については、下記を参照ください。

http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp38.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp39.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp40.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp41.html
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp42.html

また、写真展開催を志しながら、写真展審査に落選する等で悩まれ
ることもあるかと思います。

写真展開催という夢を実現するためには、まず最初に自分の夢を具
体的にイメージしてみてはいかがでしょうか?

最初に写真展を開催して自分が開催者として会場でお客さんに接し
ている場面を具体的にイメージしてみてはいかがでしょうか?
小説の一番最後をイメージしているようなものです。

その後、実際に写真展を行うためには自分は何をいつどのように行
う必要があるのか、行うべき事をイメージとして具体的に固めてい
き、試行錯誤をしながら実行していきます。小説の最後から順に読
んで行っているようなものです。

さらに、そのイメージが実際に実現できているということを潜在意
識にインプットし続けます。これは夢にチャレンジする際には大変
有効な方法です。

言葉は非常に強い力、魂を持っています。
試しに一ヶ月間、例えば毎朝目が醒める度に、

「よし、写真展をやるぞ」

と一言声を出して言ってみる習慣をつけてみて下さい。潜在意識に
対する働きかけは想像以上に大きいものがあります。

夢は諦めた時点で夢に終わります。
追いかけ続ける事で、夢は実現に近づいています。

しかし、夢が実現できないかもしれません。

それでも、夢のために切磋琢磨した経験は、必ずあなたの成長の糧
になって残りますし、あなたを一回り大きくします。

夢を実現するまでの過程を楽しみましょう。


【第七心得】
───────
『そして何よりも、写真を楽しむ』
───────
改めて、何故写真を撮るのか、考えてみましょう。

アマチュアが義務として写真を撮る必要性は、全くありません。

自分で主体的に写真を撮るべきです。
そもそも、ビジネスではなく、自分の人生の中の重要な一部分なの
です。

論語の中で、

 「子曰、知之者不如好之者。好之者不如楽之者」

という一節があります。

「あることを知っている者、それを好きな者も、楽しんでいる者に
は及ばない。 何事も楽しんで出来れば、成果も充実感も全く違う」

という意味です。

写真も全く同様です。

さて、「心から楽しむ」とはどういうことか、事例で考えてみまし
ょう。


例えば、最近、コンピュータの世界で大きな革命を起こしている、
「リナックス」というソフトウェアがあります。

大企業が、大きな投資をして開発するソフトと異なり、ボランタリ
ーの人達が集まって開発しています。信頼性・性能ともに高く評価
され、世の中へ急速に普及しています。

かたや、大企業が巨額の投資を行い開発。
かたや、ボランタリーの個人が集まって無償の行為により開発。

それぞれ職業的プロフェッショナル・フォトグラファーとプロフェ
ッショナル・サンデー・フォトグラファーに例えることが出来そう
です。

リナックス開発の中心にいるリーナス・トーバルズは、リナックス
成功の理由を以下のように語っています。

 リナックス・コミュニティのメンバーは、最も美しく最高のテク
 ノロジーを作り上げる全地球規模の共同作業の一翼を担っている
 ことを愛している。(リナックスは世界一の規模を誇る共同作業
 だ) それだけのことだ。そして、それが楽しいのだ。

「楽しいこと」が、リナックスが革命を起こした原動力です。

コミュニティ・メンバーにとって、リナックスは金銭的報酬ではな
く、最高の楽しみを与えてくれる存在なのでしょう。


次は、写真家の例です。

私は「プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーを一人挙
げなさい」と言われたら、迷わずに緑川洋一氏を挙げます。

緑川氏は歯科医です。普段は歯科医の仕事をし週末は写真に没頭、
瀬戸内海の風景を今まで誰も試したことのない様々な手法で表現し、
発表しました。

「瀬戸内海のピカピカしたきれいな海を色彩豊かに表現してみたい」
と思い撮った瀬戸内海の写真は素晴らしい色彩で表現されています。
「色の魔術師」と絶賛され、勲四等瑞宝章受賞も受賞されます。

下記の富士フィルムのサイトで、緑川洋一氏の作品とインタビュー
をご覧いただけます。

http://www.fujifilm.co.jp/photographer/2001_01midorikawa/index.html

緑川洋一氏も、上記サイトのインタビューの中で、「まずいちばん
に自分自身で楽しむこと」と述べられています。

これに加え、歯医者の仕事も一生懸命やったことも重要です。

本業でもプロフェッショナルとして社会的な責任を果たせない限り、
写真でもプロフェッショナルとして作品は残せない、ということで
はないでしょうか?

 好きなことを夢中でやる。

 仕事か趣味かに関わらず、しっかりした志を持ちつつ、ライフワ
 ークとして取り組む。

 この結果が作品に残る。

現代こそ、緑川洋一氏のようなプロフェッショナル・サンデー・フ
ォトグラファー的な生き方が我々に求められているのかもしれませ
ん。

最後に、再びウィンストン・チャーチルの言葉を引用させていただ
きます。

 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。

第五の心得では、作品を選ぶ基準は自分自身が心の底から感動して
いるかどうかである、ということを申し上げる際に、この言葉を引
用しました。

改めて、写真を撮り続ける動機として、この言葉を引用致します。

  まず、自分が感動すること。

自分が感動しなければ、他人を感動させることはできません。

チャーチルの言葉は、言い換えると、常に自分らしく生きる大切さ
を述べているのではないでしょうか?

 感動しているときは、素直に感動していることを、
 悲しいときは、素直に悲しさを、
 信じているときは、素直に信じていることを、
 表現する。

ビジネスの現場では感情を抑えなければならない場面も多いと思い
ますが、自己表現の場では感動や悲しみを抑える必要はない筈です。

第七の心得、「そして何よりも、写真を楽しむ」ためには、自分に
素直になるということがカギなのかもしれません。



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【皆様からのメッセージ】
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皆様から届いたメッセージをご紹介します

●Hさんより

》 この号は是非プリントアウトして自分が人気取りの為に迎合し
》 たり意思を曲げそうになった時読み返し初志に立ち返りたいと
》 思います、またそれだけの価値あるお話でした
》 有難うございます、次号も期待してます。

Hさん、ご感想ありがとうございました。

前回は、第一の心得から第四の心得までのエッセンスを凝縮したも
のだったので、今までのメッセージが非常に濃い状態でお届けでき
たかもしれませんね。

今回も、よろしくお願いいたします。

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【あなたの声を聞かせてください】
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あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。

mailto:news@takahisanagai.jp

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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、「風の景色」シリーズから"機上、1984"です。

大学卒業の年に、友人達と旅行に行きました。この写真は、その帰
国の際に撮影したものです。帰国の機上から眺める夜明けを見ると、
また旅に行きたくなります。

http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-045.html

『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html

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【あとがき】
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本メルマガも、一区切りまで残り1回になりました。

以前よりお知らせしております通り、次回の第51号を以って、本
メルマガは一旦一区切りとなります。

第52号以降は不定期で写真に関するメッセージを配信させていた
だこうと思っております。

引き続きお付き合いをいただければ幸いです。

では、また。

                          永井孝尚

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発行人:永井孝尚 mailto:mail@takahisanagai.jp

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