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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     http://www.takahisanagai.jp
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■■■今回のポイント■■■
作品発表の方法は色々あり、それぞれ一長一短があります。
詳しく見てみましょう。

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 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。

 7つの心得を順番に紹介しています。(詳しくは下記参照)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html

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第037号:2005/04/17
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 3】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】


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【前号のポイント】
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●作品は積極的に、出来る限り自分との関係が薄い人に、見ていた
だくべきです。 理由は「他人に作品を見せることで、作品自身が
成長するから」です。

●写真は、他人に何らかのメッセージを「伝える」ために生まれた
メディアです。しかし一方で、作品を見る全ての人々に自分のメッ
セージを伝えるのは困難です。(我々が出会う全ての人とよい関係
を築くのが困難であるのと同じように)

●それでも他人に作品を見せ続けなければならない理由は何でしょ
うか?

●それは写真作品を介してメッセージを発信し、それを他人が認識
する場に身を置くことで、さらに新しい価値を生み出すためです。

●他人の反応は、その場に身を置けば無言でも空気として伝わりま
す。それを感じ、作品をどのように成長させるのかを考えることが
重要なのであり、このプロセスを通じて、作品は成長していきます。

●具体例として、私の写真展「Tokyo Bay Area」を紹介します。

●1989年、私は東京湾岸を題材に、「東京湾岸の持つ無国籍な
独特の透明な空気感」をテーマとして写真展を開催しました。

●写真展会場ではそれなりの反応がありましたが、私自身には会場
の空気から「しかし作品全体の洗練度がちょっと足りないかなぁ」、
という影の声が聞こえたような気がしました。

●再度シナリオを組み直して、1993年に第二弾「Tokyo Bay
Area II」を発表しました。この写真展は、1989年の写真展を
見た方々からも「洗練度が上がった」との評価でした。

●しかし同時に、このパターンをどのように発展させるか、という
行き詰まりも感じ、しばらく東京湾岸シリーズはお休みをさせてい
ただきました。 10年後の今、第一弾・第二弾をどのように成長
させていくかをテーマに再び東京湾岸シリーズに取り組んでいます。

●仮に、私が他人に一切作品を見せることなく東京湾岸の作品を撮
り続けていたら、作品がこのように成長することはなかったでしょ
う。

●やはり、写真展の審査や、実際の写真展で来場する人達に作品を
晒し続け、明示的・暗示的なメッセージをいただいたからこそ、今
でも作品が成長し続けているのだと思います。

ということでした。

下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp36.html

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【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 3】
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作品発表の方法は以下のように色々あります。

・写真コンテスト
・ホームページ
・写真集出版(スポンサーによるもの)
・写真集出版(自費出版によるもの)
・写真展(合同展)
・写真展(個展)

それぞれについて考えてみましょう。

● ● ● ● ● ●

1.写真コンテスト

写真団体、企業、公共機関等が主催して行うコンテストです。

レベルの高い写真コンテストに上位入賞すると、それだけでも立派
な写歴となり、世の中に通用します。

ただし、多くの場合、入賞作品の版権はコンテスト主催側に渡りま
すし他媒体での発表は禁じられますので、ライフワークとして撮り
続けている作品を出品する際には注意が必要です。


2.ホームページ

何といっても気軽に始められる点がよいと思います。

国内のインターネット普及率も50%を超えてきましたので、非常
に多くの方々に見ていただける可能性があります。

但し、写真のホームページは世の中に氾濫しているのが実情であり、
多くの方々に見ていただくためには各種検索エンジンやポータルサ
イト、他の方々のホームページ等で紹介される必要があります。

各種サイトで紹介されるためにはどうればよいのでしょうか?

ホームページ上の作品を充実させる前に、片っ端から各サイトに掲
載お願いメールを出すのはよい方法ではありません。

また、「取り敢えず撮ったので、ホームページに掲載して他の人達
の意見を聞いてみよう」というような姿勢で写真を掲載している限
り、そのホームページは世の中の多くのホームページの中に埋もれ
てしまう可能性が極めて大です。

従って、ホームページでの写真発表と言えども、厳しい姿勢が求め
られることには変わりありません。

むしろ高品質の作品を厳選してホームページに登録することが必要
です。品質の高い作品を厳選して掲載することで、こちらからお願
いしなくても他サイトからリンクが張られ、その結果、検索エンジ
ンに上位登録されます。

また、PC画面上の写真の画質面の品質は、写真集の印刷画質、写
真展等でのオリジナルプリントの画質と比べると大きく見劣りする
ことも考慮する必要があります。画質の比較で考えると、

ホームページ < 写真集 ≪ オリジナルプリント

といった感じでしょう。

但し、ホームページ上の作品の場合は、色はそれ自身が発光してい
る点光源の集まりであり、オリジナルプリントや写真集のような反
射原稿ではありません。従って鮮やかな色彩の作品の場合は、ホー
ムページ上で見ると割ときれいに見えます。


3.写真集出版(スポンサーによるもの)

出版社等が出版社側の経費負担であなたの写真集を出版するケース
です。全国の書店で販売されるので、もしこの方法で写真集出版が
可能であれば、作品発表の方法としては非常に魅力的です。

但し、非常に厳しいのが現実です。

まず、無名の写真家に対して、出版社が自社負担で出版に応じるこ
とはめったにありません。多くの場合は折半の負担になります。

出版社によっては、この方法を新しい収入源としているケースもあ
るようです。

具体的には、ホームページで写真を発表しているアマチュア写真家
に対して「素晴らしい写真なので写真集を出版させて下さい」と持
ちかけ、本人がその気になった段階で「ただし当社としてもリスク
があるので初版の費用は折半でお願いします」という条件を付ける
という方法です。

よくよく考えてみると、この会社は実際の売上げを、購入者の代わ
りに写真家本人から立てていることになります。もし本が売れた場
合は、売れた分がさらに出版社の収入になる訳です。

出版不況の中、この方法は出版社側にとっては確実に利益を出せる
非常にリスクが低く美味しい方法で、世の中に広まっているようで
す。

写真家から見ると、書店に置いていただける可能性があることを除
けば、実態は自費出版とあまりかわりがありません。

また、写真集の寿命は意外と短いのが現実です。世の中には非常に
多くの写真集が次から次へと出版されていますが、書店の写真集の
棚は限られています。この結果、短期間で売れない写真集は絶版と
なり、売れ残った写真集は悲しいことに裁断される運命にあります。

また、写真集のデザイン(ページ数、掲載作品数、キャプションの
付け方、装丁の方法等)は、基本的に出版社側が決定します。写真
家本人の意見が全て100%通ることはありません。

従って、最初からこの方法を狙うのはあまりお勧めできません。


4.写真集出版(自費出版によるもの)

3.と異なり写真集のデザインは全て自分でコントロールできます。

但し一般の書籍流通システムでは販売できない点は注意が必要です。

10年程前は写真集を自費出版しようとすると最低500部程度か
らで100−200万円必要でしたが、最近は少数部数の自費出版
も可能になってきました。それでも数十部作成する場合は数十万円
の経費がかかります。


5.写真展(合同展)

写真展では、一番品質がよいオリジナルプリントの状態で見ていた
だける点が大きなメリットです。

しかし、合同展の場合、自分の作品はあくまで写真展に参加してい
る人達全体の中の一部でしかありません。残念ながら、自分の作品
でメッセージを伝える力は弱くならざるを得ません。


6.写真展(個展)

写真展会場を全て自分の作品で埋めて、会場の空間全体で統一した
メッセージを出すことが出来ます。BGMや照明等の効果を活かす
こともできます。

一般的な写真展の場合、費用は数十万円から100万円かかります。
また、時間的・労力的負担も大きい点も、考慮が必要です。

統一テーマで数十点の作品を構成し、メッセージを出すのは大変で
すが、このプロセスを通じて写真の力は確実に向上します。

● ● ● ● ● ●

色々な発表形態がありますが、私は個人的にオリジナルプリントを
そのまま見せられる写真展(個展)を中心に考え、補足的にホーム
ページで写真展で発表した作品を常時アクセスできるようにする、
という方法をお勧めしたいと思います。

さて、あなたは写真展というものは非常に遠くにあるものと思って
いないでしょうか?

そんなことはありません。
写真展は、誰でも開催することが出来るものです。

誰にでも写真展開催のチャンスが与えられています。職業的プロフ
ェッショナル・フォトグラファーよりもむしろ、自由に自分の時間
が使えるプロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーこそ、
写真展開催の近道にいるとも言えます。

実際、世の中で開催されている多くの写真展は、アマチュア写真家
によって開催されています。私も写真とは関連がない会社に勤務し
ていますが、過去数回の写真展を開催しています。

ただし、写真展開催のチャンスは、写真を撮り続けていれば他の人
が与えてくれる、というものではありません。写真展を開催するた
めには、相当のエネルギーを注ぎ込む必要があります。

次回は、写真展開催の方法についてご紹介したいと思います。


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【あなたの声を聞かせてください】
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あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。

mailto:news@takahisanagai.jp

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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、"Graceful Flowers"シリーズから「ゼラニウム - 柏木牧場,
1995」です。

初夏というにはまだ早い時期に、ハーブガーデンで出会ったゼラニ
ウムです。明るい淡い緑色の中に花弁が浮き上がっていました。

http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-032.html

『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html

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【あとがき】
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会社に入って3年目、24歳の時、

「30歳までに個展を開催したい」

と思い、東京湾岸の写真を撮り始めました。

写真展審査に何回も落ちながら、作品を練り上げるといった過程を
繰り返した結果、この思いは当初の希望よりも早く、27歳の時に
叶いました。

その後も何回か写真展を開催してまいりました。

次回以降、写真展開催のためには何を行うのかをご紹介していきた
いと思います。よろしくお願いいたします。

では、また。
                          永井孝尚

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発行人:永井孝尚 mailto:mail@takahisanagai.jp

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