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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     http://www.takahisanagai.jp
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■■■今回のポイント■■■
前回、作品は他人に見せることで成長していくとお伝えしました。
今回はその理由を考えてみました。

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 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。

 7つの心得を順番に紹介しています。(詳しくは下記参照)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html

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第036号:2005/04/03
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 2】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】


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【前号のポイント】
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●第六の心得は、「作品発表の場を、自分で創る」です。

●何故、我々は作品発表の場を創り、他人に作品を見せる必要があ
るのでしょうか?

●色々な理由が考えられますが、私は「他人に作品を見せることで、
作品自身が成長するから」を挙げたいと思います。

●単に作品を見て欲しいのであれば、必ずしも作品発表の場を創る
必要はないのです。ただ、実際には、自分の知り合いに作品を見せ
た場合、その反応は、「あなた」という個人に対する評価も含めた
反応です。必ずしも、純粋に作品単体で評価される訳ではありません。

●本来、作品はそれ単体で評価されるべきなのです。作者自身の人
物評価と併せて作品が評価されることは、必ずしも望ましくありま
せん。

●作品を見る人が自分から離れた人である程、つまり自分との関係
性が低いほど、作品はそれ単体で他人から評価されます。

●このためには、自分とは関係性がない多くの人達に作品を見てい
ただき、忌憚のない評価に晒すことが必要です。

●このような評価に晒し、揉まれることで、作品自体が成長してい
きます。

ということでした。

下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp35.html

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【第六の心得:作品発表の場を、自分で創る 2】
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プロフェショナル・サンデー・フォトグラファーは、ある意味で、
求道者的なところがあります。

自分の作品を徹底的に深耕していく中で、ともすると作品発表のチ
ャンスを持たないまま、撮影のみに没頭してしまい、他人には自分
の作品を一切見せようとしない人もあります。

それも一つの考え方だと思いますが、私は「作品は積極的に他人に
見ていただくべき」との考えです。それも出来る限り自分との関係
が薄い人に、です。

理由は前回書いた通り、「他人に作品を見せることで、作品自身が
成長するから」です。

写真とは、人に見せることが前提であるメディアです。
つまり、写真というメディアを通じて、他人に何らかのメッセージ
を「伝える」ために生まれたものです。

逆に言えば、他人に見せるつもりがないのであれば、感動した場面
は自分の記憶にしまっておけばよいのであって、敢えて写真を撮る
必要はないのではないかと私は考えます。



さて、他人に見せるために生まれた写真というメディアですが、作
品を見ていただく全ての人々に作品を通じて自分のメッセージを伝
えるのは困難です。これは、我々が出会う全ての人とよい関係を築
くのが困難であるのと同じことなのかもしれません。

それでも作品を見ていただくことを続けるのは何故でしょうか?

それは写真作品を介してモノゴトに意味(=メッセージ)を与え、
それを他人が認識する場に身を置くことで、さらに新しい価値を生
み出すためです。

他人の反応は、仮に実際に声にならなくても、その場に身を置けば
無言でも空気として伝わります。それを感じ、作品をどのように成
長させるのかを考えることが重要なのです。

このプロセスを通じて、作品は成長していきます。



ちょっと抽象的な表現なので、具体例として私自身の経験をご紹介
します。

1989年、私は東京湾岸をテーマにした写真展「Tokyo Bay Area」
を開催しました。

テーマは「東京湾岸の持つ無国籍な独特の透明な空気感」でした。

東京湾岸をこのように捉えた作品は存在していなかったので、写真
展会場ではそれなりの反応がありました。しかしながら、誰も明示
的には言いませんでしたが、会場に来られる人達の様子を1週間見
ていて、私自身には「しかし作品全体の洗練度がちょっと足りない
かなぁ」、という影の声が聞こえたような気がしました。

そこで、再度シナリオを組み直して、1993年に第二弾「Tokyo
Bay Area II」を発表しました。この写真展は、1989年の写真
展を見た方々からも「洗練度が上がった」との評価をいただきまし
た。

数年後、ホームページでは第一弾・第二弾の作品を再構成して、一
つのシリーズとして発表しました。

しかし同時に、このパターンをどのように発展させるか、という行
き詰まりも感じました。そこでしばらく東京湾岸シリーズはお休み
をさせていただきました。

10年後の今、第一弾・第二弾をどのように成長させていくかをテ
ーマに、再び東京湾岸シリーズに取り組んでいます。

仮に、私が他人に一切作品を見せることなく東京湾岸の作品を撮り
続けていたら、作品がこのように成長することはなかったでしょう。

やはり、写真展の審査や、実際の写真展で来場する人達に作品を晒
し続け、明示的・暗示的なメッセージをいただいたからこそ、今で
も作品が成長し続けているのだと思います。

次回は、作品発表の方法についてご紹介したいと思います。


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【あなたの声を聞かせてください】
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あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。

mailto:news@takahisanagai.jp

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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「早朝、城南島の釣り人 -
城南島、1987」です。

18年前に撮影した作品です。 東京湾岸を撮影する際に一番出会
う人達は、釣り人です。 羽田空港の拡張工事をしていたこの当時、
羽田空港の北側にある城南島には、朝になると釣り人達が集まって
いました。 300mmの超望遠レンズで捉えてみました。

http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-031.html

『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html

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【あとがき】
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今回、『風の写真館コレクション』でお送りした作品を撮影したの
は25歳の時でした。それから18年間が経過し、今43歳です。

今回、何気なく選んだ作品ですが、この18年の間に、私自身は色
々な経験をさせていただきました。

それでも、この作品を見ると、18年前に撮影した瞬間のその場の
空気が、まるで今朝のことのように鮮明に思い出されます。

では、また。
                          永井孝尚

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発行人:永井孝尚 mailto:mail@takahisanagai.jp

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