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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     http://www.takahisanagai.jp
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■■■今回のポイント■■■
今回は、第五の心得について、過去4回分の内容をコンパクトにま
とめてみました。

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 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。

 7つの心得を順番に紹介しています。(詳しくは下記参照)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html

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第034号:2005/03/06
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■■■目次■■■
【第五の心得のまとめ】
【あなたの声を聞かせてください】
【私のお気に入り】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】

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【第五の心得のまとめ】
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●第五の心得とは、「自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。
作品セレクションが撮影以上に大切と知っている」です。

●「写真はパッションだ」ということで、衝動の赴くままに撮影し、
一切セレクションせずに、「これがオレの表現したかったことだ!」
と発表しても、素晴らしい作品にはなりません。

●一つ目の理由は、様々な技術的未熟さや企画段階の未熟さにより、
「自分はいい」と思っていても、作品としての完成度が低いからで
す。

●二つ目の理由は、写真はその人にとっての真実、言い換えると自
分そのものを写しますので、自分自身が自分の作品に対して厳しく
しなければならないからです。

●言い換えれば、セレクションとは、「選ぶ」作業ではなく、「捨
てる」作業です。作品の完成度は、いかに不十分な作品を捨てるか
にかかってきます。

●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーには、自分の
作品に対して厳しい姿勢を求めらます。

●写真を鑑賞する立場でセレクションを考えるとよりセレクション
の重要さがわかります。

●例えば、自分が写真展に行ったときのことを考えてみてください。
興味が沸かない作品は素通りしますよね。その作品を何回も眺めて
何故自分が評価できないかを徹底的に考えたり、写真展会場にいる
作者に声を掛けて作品の意図を理解できるまで問いただすことは、
通常行わないと思います。

●自分が写真展を開催している場合も同じです。
あなたの写真展の来場者は、あなたの作品に興味が沸かないとその
まま素通りします。

●人は、自分自身は興味が沸かない他人の作品には無関心であるに
も関わらず、自分が作品を発表する立場になると他人に自分の作品
に最大限の関心を持って欲しいと思ってしまうのです。

●マザー・テレサは、「愛の対極にあるのは、憎しみではなく、無
関心である」と語りました。人は評価しない作品に対しては決して
悪口は言いません。単に無視するだけです。

●だからこそ、自分自身が一番厳しい批評家として、自分の作品を
セレクションしなければならないのです。

●しかし、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、
他人や市場の評価を作品セレクションの基準とすべきでないのです。
何故でしょうか?

●職業的プロフェッショナル・フォトグラファーの場合、クライア
ントの要求・要望・市場の評価が写真セレクションの絶対基準です。
何故なら写真はお金を得るための手段だからです。

●一方、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーにとっ
ては、写真はお金を得るための手段ではなく、自分自身の表現手段
であり、写真評価軸はあくまで自分自身の厳しい作品選定基準です。
市場評価を作品セレクションの基準にすべきではないのです。

●ゴッホは、生前は作品は全く評価されず極貧の生活を送っていま
した。評価されるようになったのは、死後10年以上経ってからで
す。しかし、死の直前の2年間の素晴らしい作品を見ると、創作活
動とその時点の市場評価は全く別物であることがよく分かります。

●自分の厳しい選定基準をクリアしていれば、市場が受け入れなく
ても、それは問題と考えるべきではないのかもしれません。

●以下は英国の宰相・ウィンストン・チャーチルの言葉です。

 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。

●セレクションの一つの基準は、自分自身が心の底から感動してい
るかどうか、かもしれません。

●逆説的に言えば、セレクションは必要悪と言えます。撮影の段階
で、作品の最終イメージが確定し、かつその通り作品を仕上げる実
力を持っていれば、撮影した時点で作品は出来上がっている筈であ
り、セレクションは不要です。 ⇒加納典明の事例参照
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp33.html

●しかし、残念ながら我々は必ずしも写真の天才ではありません。
また、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーに対して
は、他人は誰も厳しいことを言ってくれません。

●そこでセレクションという作業が必要になってくる訳ですが、何
が写真のセレクションを難しくしているのでしょうか?

●それは、自分自身の作品への思い入れ、被写体への思い入れ、迷
い、エゴ等です。

●実は、自分の作品に一番甘いのは自分なのです。

●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは自分の作品
の隅々に責任を持たなくてはいけません。一箇所でも納得できない
場所があれば、それは作品として世の中に出すべきではありません。

●セレクションは、撮影した写真作品から技術的未熟さやエゴを洗
い流すために必要な作業である、と考えることも出来ます。

●参考までに私が心掛けている方法は以下の方法です。

・今、自分が死んで、作品だけが残った。
・人々はその作品で自分という人間を評価することになる。
・その場合、自分は、ここでセレクションした作品のみで自分とい
 う人間を評価されて、納得できるのか?

●しかし、実際には難しい点もあります。例えば、統一テーマで写
真展を行う場合です。

●数十点の作品で流れを作る際に、流れの中で作品に強弱を付ける
必要も出てきます。また同一テーマで数十点の作品を揃えるには非
常に高度な技量が必要で、どうしても弱い作品も出てきます。

●しかしながら、それでもやはり、このような心掛けを常に持って
作品を選んでいかなければならないのではないか、と思っています。



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【あなたの声を聞かせてください】
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第五の心得、いかがでしたでしょうか?
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。

mailto:news@takahisanagai.jp

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【私のお気に入り】
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私のお気に入りの写真集や書籍をご紹介します。

■■ 「知的プロフェッショナルへの戦略」田坂広志 ■■

何回か本メルマガで引用させていただいる田坂広志先生の著書です。
田坂先生の著書は私はいつも座右の銘としております。

本書は、写真・ビジネスの両面で学ぶところが大です。
その一部を挙げましょう。

『知識資本主義の時代に求められる人材はナレッジ・ワーカー。
しかし、我々が目指すべきはナレッジ・ワーカーではない。
知的プロフェッショナルである。

求められる人材と活躍すべき人材は異なる。

「求められる人材」とは、
これからの企業や産業や社会が「労働力」として欲する人材である。

一方、「活躍する人材」とは、
これからの企業や産業や社会で「影響力」を発揮していく人材であ
る。』

ビジネス面でも深いメッセージが込められていますが、
「人材」を「写真家」と読み替えてみると、また別の示唆を与えて
くれます。

プロフェッショナル・サンデ・フォトグラファーも、また、知的プ
ロフェッショナルでありたいですね。

知識社会を生きていく全ての人に、ご一読をお勧めします。

詳しくは下記をご覧下さい。

http://amazon.co.jp/o/ASIN/4062111535/wps-22



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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「深紅の空とインターコン
チネンタル - 横浜MM21、1992」です。

前回、前々回の写真と同じ時期に撮影しました。この冬は、火山活
動の影響で世界中で明け方・夕方にこのような真っ赤な空を見るこ
とができました。

http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-029.html

『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html

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【あとがき】
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先日、母校写真部の現役生写真展批評会に参加してきました。

喫茶店を数週間借り切って行った、有志での合同写真展でした。

限られたスペースの中で、真剣に作品を選び、お互いに切磋琢磨し
て仕上げて展示していく姿勢は素晴らしいですね。

私も現役当時、喫茶店で行っていた写真展の壁面をどのように埋め
ていくか、ワクワクしながら考えていましたが、これは社会人にな
って写真展を行う今も同じ気持ちです。

写真にかける情熱には年齢は関係ない、と思いました。

では、また。
                          永井孝尚

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発行人:永井孝尚 mailto:mail@takahisanagai.jp

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