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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     http://www.takahisanagai.jp
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■■■今回のポイント■■■
今回は、第五の心得の最終回。セレクションの難しさについてです。

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 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。

 7つの心得を順番に紹介しています。(詳しくは下記参照)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html

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第033号:2005/02/20
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第五の心得:一番厳しい批評家は自分 その4】
【あなたの声を聞かせてください】
【私のお気に入り】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】

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【前号のポイント】
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●職業的プロフェッショナル・フォトグラファーの場合、写真はお
金を得るための手段ですので、クライアントの要求・要望、つまり
市場の評価が写真セレクションの絶対基準です。

●一方、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、市
場評価を作品セレクションの基準にすべきではありません。プロフ
ェッショナル・サンデー・フォトグラファーにとっては、写真とは
お金を得るための手段ではなく、自分自身の表現手段であり、写真
評価軸はあくまで自分自身の厳しい作品選定基準です。

●例えばゴッホは、生前は作品は全く評価されず極貧の生活を送っ
ていました。彼が評価されるようになったのは、死後10年以上経
ってからです。しかし、死ぬまでの最後の2年間の素晴らしい作品
を見る限り、創作活動とその時点の市場評価は全く別物であること
がよく分かります。

●自分の厳しい選定基準をクリアしていれば、市場が受け入れなく
ても、それは問題と考えるべきではないのかもしれません。

●英国の宰相だったウィンストン・チャーチルは、次のように語っ
ています。

 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。

●一つの基準は、自分自身が心の底から感動しているかどうか、か
もしれません。

下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp32.html

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【第五の心得:一番厳しい批評家は自分 その4】
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今回のテーマはセレクションの難しさについてです。

第30号で、
『自分の衝動の赴くままに撮影し、出来上がった写真のセレクショ
ンは一切行なわず、「これがオレの表現したかったことだ!」と発
表すればよいのか?』
という問いかけをさせていただきました。

http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp30.html

これに対して、やはりセレクションは必要であると申し上げました。

写真のセレクションについては、以前テレビ番組で面白い場面を見
たことがあります。

カメラマンを題材とした、10年程前に放映された深夜放送でした。
この番組では、カメラマンの卵が10分程度の与えられた時間内で
初対面のモデルを撮影し、出来上がった写真で競いあう、という内
容でした。

ある回に、ゲスト出演していた加納典明がこの撮影に参加しました
が、彼の撮影方法と作品は圧巻でした。

モデルとコミュニケーションを取った後、レンズ付フィルムカメラ
でノーファインダーで無造作に3枚だけパシャパシャ適当に撮影し、
「これで終わり」と、そのまま現像係に渡しました。

その3枚がそのまま作品になっているのですが、全て露出・ピント
・構図・シャッターチャンス、そして何よりも写真の迫力が素晴ら
しい出来でした。

恐らく、加納典明の場合、撮影前のモデルとのコミュニケーション
の段階で最終的な作品イメージも作っていたのかもしれません。

番組なので多少やらせっぽい点があるかとは思いますが、本来はこ
れがあるべき姿なのでしょう。

しかし、残念ながら我々は必ずしも加納典明のような天才ではあり
ません。

また、何回か申し上げたように、プロフェッショナル・サンデー・
フォトグラファーに対しては、他人は誰も厳しいことを言ってくれ
ないと覚悟しなければなりません。

そこでセレクションという作業が必要になってくる訳です。

さて、何が写真のセレクションを難しくしているのでしょうか?

それは、自分自身の作品への思い入れ、被写体への思い入れ、迷い、
エゴ等です。

実は、自分の作品に一番甘いのは自分なのです。

実際には、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは自
分が自分の作品に対して一番厳しい批評家である必要があります。

作品の隅々に責任を持たなくてはいけません。
一箇所でも納得できない場所があれば、それは作品として世の中に
出すべきではありません。

このように考えると、セレクションは、撮影した写真作品から技術
的未熟さやエゴを洗い流すために必要な作業である、と考えること
も出来るかもしれません。

さて、このように難しいセレクションの作業ですが、参考までに私
が心掛けている方法は既に何回か述べてきた以下の方法です。

・今、自分が死んで、作品だけが残った。
・人々はその作品で自分という人間を評価することになる。
・その場合、自分は、ここでセレクションした作品のみで自分とい
 う人間を評価されて、納得できるのか?

このプロセスを通じて残った写真のみを作品として残すように心掛
けていますが、実際には難しい点もあります。

例えば、一つのテーマで写真展を行う場合です。

数十点の作品で流れを作っていくのですが、どうしても流れの中で
作品に強弱を付ける必要も出てきます。また現実的な問題として、
同じテーマで数十点の作品を揃えるには非常に高度な技量が必要で
す。どうしても作品としては弱いものも出てきます。

しかしながら、それでもやはり、私はこのような心掛けを常に持っ
て作品を選んでいかなければならないのではないか、と思っていま
す。

以上、第五の心得の最終回として、セレクションの難しさについて
述べさせていただきました。皆様のご参考になれば幸いです。

次は、第五の心得のまとめをお送りします。


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【あなたの声を聞かせてください】
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本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。

mailto:news@takahisanagai.jp

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【私のお気に入り】
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私のお気に入りの写真集や書籍をご紹介します。

■■ "Coincidences" Sarah Moon ■■

私が大好きな作家の一人、Sarah Moonの作品集です。
約200点の作品は、主に1990年以降のものが大部分を占めて
います。

Sarah Moonの作品集自体、日本ではなかなか入手できない状況です。

私は10年ほど前に銀座プランタンで行われた写真展で彼女の写真
集を入手しましたが、このような写真展企画と併せて販売される写
真集は一般に販売されないのが実情のようです。

数ヶ月前に何気なくアマゾンで検索してみたところ、この写真集が
見つかりました。新品の場合12000円以上するところ、マーケ
ットプレイスで3500円で出品している方がいて、思わず購入し
てしまいました。

Sarah Moonの作品に触れてみたい方にはお勧めです。

詳しくは下記をご覧下さい。

http://amazon.co.jp/o/ASIN/1892041464/wps-22

ところで、アマゾンでは何故か「アダルト商品につき18歳未満の
方は購入できません」と出てきます。確かに一般的なヌード写真は
入っているのですが、アダルトという程の過激な写真はないように
思うのですけど、何故でしょう?


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【『風の写真館コレクション』より】
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今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「真冬の早朝、東京湾 -
城南島その2、1991」です。実は前回お送りした写真と同じ時間・
同じ場所の撮影です。

前回は超広角レンズで明け方の真っ赤に染まる空全体とそれを受け
て輝く海を表現しました。

今回は超望遠レンズを使用して水平線に陽炎のように浮かぶ工業地
帯を撮ってみました。

表現手段の違いで同じ被写体が全く変わるいい例かもしれません。

こちらは今回の作品。
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-028.html

ちなみに、前回の作品はこちらです。
http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-027.html

『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html

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【あとがき】
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知り合いの方々から、「仕事をしながら、よくメルマガを書く時間
がありますね」と言われます。

私の場合、通勤時間に電車の中で書いています。
ただ、昨年引っ越して電車の中で座れる時間が少なくなったので、
最近はウィークディにある程度の骨格を作っておいて、週末の土日
にまとめて書くことが多くになりました。

まぁ、メルマガスタート時に第七の心得までの全体の構成を予め作
っていて、全くのゼロから毎回書き起こしている訳ではないので、
なんとか発刊し続けています。

でも、今回も出来上がったのは日曜日の午後10時過ぎでした。
もうちょっと早めに仕上がるようにしたいですね。

では、また。
                          永井孝尚

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発行人:永井孝尚 mailto:mail@takahisanagai.jp

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 を掲載しています。よろしければお立ち寄りください。

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