━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     http://www.takahisanagai.jp
──────────────────────────────
■■■今回のポイント■■■
作品のセレクションは他人の意見に従って決める、という考え方も
あります。

合理的な考え方のような気もしますが、これでいいのかな、という
気もしますね。ちょっと考えてみましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
≫≫本メルマガについて≪≪≪

 本メルマガは、「ライフワークは写真」と考える方々に、
 プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーという生き方
 を提案します。

 7つの心得を順番に紹介しています。(詳しくは下記参照)
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp-backnumber.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第032号:2005/02/06
───────────────────────────────────
■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第五の心得:一番厳しい批評家は自分 その3】
【あなたの声を聞かせてください】
【『風の写真館コレクション』より】
【あとがき】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【前号のポイント】
──────────────────────────────
●写真を鑑賞する立場で、セレクションを考えてみましょう。

●写真展に来る多くの人達は、興味が沸かない作品は素通りします。

●その作品を何回も眺めて何故自分が評価できないかを徹底的に考
えたり、写真展会場にいる作者に声を掛けて作品の意図を理解でき
るまで問いただす人は非常に稀です。

●これは、自分が写真展を開催している場合も同じです。あなたの
写真展の来場者は、あなたの作品に興味が沸かないとそのまま素通
りします。

●マザー・テレサは、「愛の対極にあるのは、憎しみではなく、無
関心である」と語りました。人は評価しない作品に対しては決して
悪口は言いません。単に無視するだけです。

●しかしながら人間は、興味が沸かない他人の作品には無関心であ
るにも関わらず、何故か自分が作品を発表する立場になると、他人
に自分の作品に最大限の関心を持って欲しいと思ってしまうのです。

●自分自身が一番厳しい批評家として、自分の作品をセレクション
しなければならない理由がここにあります。プロフェッショナル・
サンデー・フォトグラファーは、他の誰よりも自分の作品に厳しく
あらねばならないのです。

●しかし一方で、他人や市場の評価を作品セレクションの基準とす
べきでないのです。何故でしょうか?

ということでした。

下記で前号について詳しくご覧いただけます。
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp31.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【第五の心得:一番厳しい批評家は自分 その2】
──────────────────────────────
職業的プロフェッショナル・フォトグラファーの場合、市場の評価
が写真作品セレクションの絶対基準です。ただこの場合、写真は
「作品」ではなく「商材」と考えた方がいいかもしれません。

職業的プロフェッショナル・フォトグラファーにとって、写真とは
お金を得るための手段です。クライアントの要求・要望が写真評価
軸になりますので、市場の評価が写真セレクションの絶対基準です。

ただし、極一部の恵まれたケースを除き、ほとんどの場合は売れる
写真とクライアントに必要とされる写真が一致することはありませ
ん。

しかし、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、市
場評価を作品セレクションの基準にすべきではありません。

これは、自分の中の写真評価軸をどこに置いているのか、というこ
とによる違いによります。

プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーにとっては、写
真とはお金を得るための手段ではなく、自分自身の表現手段です。
従って、写真評価軸はあくまで自分自身の厳しい作品選定基準です。

例えば、絵画の世界のゴッホを考えてみましょう。
現在、作品オークションで巨額で取引されています。その是非はさ
ておき、生前は作品は全く評価されず極貧の生活を送っていました。

1890年に自殺。彼が評価されるようになったのは、1901年
と1905年に大回顧展が開かれてからです。

生前のゴッホが、作品が売れないことを悩んでいたのかどうかは分
かりません。しかし死ぬまでの最後の2年間の素晴らしい作品を見
る限り、創作活動と市場評価は全く別物であることがよく分かりま
す。

逆説的な言い方ですが、自分の厳しい選定基準をクリアしていれば、
市場が受け入れなくても、それは問題と考えるべきではないのかも
しれません。

「市場が自分の作品を受け入れてくれない」というのは寂しいもの
ですし、「世の中に認められたい」という自分のエゴをマネージす
ることは難しいものですが....。

従って、例えば、アンケートを取って自分の作品を選ぶ、という行
為は、プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーとして何
よりも大切な自分の評価軸を放棄していることになります。

(ただし、自分の評価軸を予め持っていて、世の中の基準と自分の
評価軸がどれだけ離れているのかを把握するために、アンケートを
取る、ということはありうるかもしれません)

私は、一つの基準は、自分自身が心の底から感動しているかどうか、
というのが一つの評価軸になりうるのではないかと考えています。

英国の宰相だったウィンストン・チャーチルは、次のように語って
います。

 誠実でなければ人を動かすことはできない。
 人を感動させるには、自分が心の底から感動しなければならない。
 自分が涙を流さなければ、人の涙を誘うことはできない。
 自分が信じなければ、人を信じさせることはできない。

これは、写真の作品作りにも当てはまる言葉ではないかと思います。

さて、セレクションについて述べてきましたが、作品セレクション
という作業は実に難しいものです。

次回は、その点について考えてみましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あなたの声を聞かせてください】
──────────────────────────────
本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。

mailto:news@takahisanagai.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【『風の写真館コレクション』より】
──────────────────────────────

今回は、Tokyo Bay Areaシリーズから、「真冬の早朝、東京湾 - 城
南島、1991」です。

この年の冬は、火山活動の影響で明け方の空が真っ赤に染まりまし
た。年末・年始休暇の1週間は、東京湾岸で写真を撮り続けました。

http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-027.html

『風の写真館コレクション』への登録は下記でどうぞ。
http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【あとがき】
──────────────────────────────
先日、ブルーノート東京でTAKE6を聴いてきました。

6人の声だけで紡ぎ出すコーラス・ハーモニーは、身体の芯からゾ
クゾクする程の感動モノでした。

生の音楽に接して、ここまで感動したのは初めての体験です。
何故感動したのか、考えてみました

・誰にも真似できない圧倒的なテクニック
・6人が一心同体となったコラボレーション
・何よりも彼ら自身が心から音楽を楽しんでいること
・音楽を聴いてくれる人達に楽しんでもらおうとする徹底したプロ
 意識

世界レベルでの激しい競争が行われる米国で、厳しい審美眼を持つ
顧客がいてこそ、彼らのようなグループが育ってくるのでしょう。

ひるがえって、日本。
ミリオンセラーになる音楽が必ずしも高い音楽性を持っている訳で
はありません。これは、我々顧客が日本のアーティストを育ててい
ない、ということなのかもしれません。

では、また。
                          永井孝尚

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行人:永井孝尚 mailto:mail@takahisanagai.jp

 『風の写真館』http://www.takahisanagai.jp で作品やコラム
 を掲載しています。よろしければお立ち寄りください。

●ご意見・コメント・ご質問はこちらまで
mailto:news@takahisanagai.jp
●登録・解除・バックナンバー閲覧はこちらまで
http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/photoexhibition.html

●このメールマガジンは、 まぐまぐ http://mag2.com/ 、
 melma! http://melma.com/ のシステムを利用し
 配信しています。

●メルマガ【プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!】
は無料です。

●本メルマガは自由にお友達に転送ください。
 転送いただく場合は、編集せずに、メルマガ全体をそのままお送
 りいただきますようお願いいたします。

Copyright(C), 2004-2005 永井孝尚

【バックナンバーへ戻る】