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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
「写真がライフワーク」と考える写真家のためのメルマガ
                     <http://www.takahisanagai.jp>
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■■■今週のポイント■■■
テーマを決めて、好きなモノばかり撮っていても、実はプロフェッ
ショナル・サンデー・フォトグラファーになれません。
どうすればよいか考えてみましょう。

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第010号:2004/03/26
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■■■目次■■■
【あなたの声を聞かせてください】
【前号のポイント】
【第二の心得:自分だけのテーマ その3 テーマを定める方法論】
【『風の写真館コレクション』、登録受付中】
【あとがき:皆様へのお願い】

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【あなたの声を聞かせてください】

本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)

<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>

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【前号のポイント】

●第二の心得、『数十年という長い人生の中で、自分だけのテーマ
を追い続け、撮り続ける』として、私のケースを例に、衝動をテー
マに繋げる方法をご紹介します。

●私は1989年、27歳の時に、"Tokyo Bay Area"というタイト
ルで、写真展を行ないました。(作品は下記サイト参照)
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tokyobayarea.html>

●学生の頃から東京湾岸を撮っていましたが、このテーマに本格的
に取組んだのは1986年から87年の二つの出来事がきっかけで
す。

●私は1984年に大学を卒業し、現在の勤務先に入社しました。
最初は余裕は全くなかったのですが、3年目には余裕ができ、気分
転換のために、週末の明け方に羽田や湘南へドライブに行くように
なりました。

●そこで今まで目にしたことがない光景に出会いました。いつもは
見慣れている景色が、夜明け前の群青色の空気の中で息づき、普段
は雑然とした工業地帯が夜明けの空の中で美しいシルエットを見せ
ていました。最初は新鮮な空気の中に身を置き、ただ眺めているだ
けで、ウィークディの仕事の疲れが洗い流される思いがしました。

●そのうち、この光景を写真の形で残すことができないか、と思う
ようになったのが"Tokyo Bay Area"という作品を撮り始める最初の
きっかけです。

●転機は、1987年に羽田で撮影した次の作品でした。
<http://www.takahisanagai.jp/photoworks/tokyobayarea/tba8921.html>

●生暖かい空気の中、この日は夜明け前の東の空全体が信じられな
い程の深紅色に染まり、夢中で写真を撮りながら、「神の啓示とい
うものがあるとすれば、このような瞬間にあるのかもしれないな」
と感じました。

●この時に、「この場の空気を写真に残し、他の人と感動を共有し
たい!」という衝動を持ったのが、Tokyo Bay Areaシリーズを続け
るに至った契機でした。

●「写真のテーマをまず見つけよう」と頭で考えていたら、私の場
合は恐らくこのテーマには到達しなかったと思います。やはり、感
動を憶える体験をし、取り敢えず写真を撮り始め、そこで得た衝動
を追いかけた結果が、"Tokyo Bay Area"シリーズに繋がったと思い
ます。このシリーズは、1993年にパート2の写真展を開催し、
現在も撮影を続けています。

●頭だけで考えず、自分の衝動を基本に深堀していくことが、テー
マ発見の近道です。

●しかしながら、自分だけのテーマに到達するための方法論もある
のではないでしょうか?


ということでした。

下記で前号について詳しくご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp09.html>

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【第二の心得:自分だけのテーマ その3 テーマを定める方法論】

今回は、自分だけのテーマに到達するための方法論です。

プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーは、手元に自分
の写真作品がなくても、自分の写真について表現豊かに語ることが
出来ます。

さらに、言葉で十分に語り尽くした相手に対して、写真という映像
を示すことにより、語り尽くせなかったより深い世界を示すことが
出来ます。

何故、こんなことができるのでしょうか?
ちょっと考えてみましょう。






それは、前号で述べましたように、自分が深い感動を感じ、「これ
を表現したい」という衝動を持ったテーマに対して、徹底して撮り
込んでいるからです。

従って、そのようなモノをテーマに選ぶことが重要です。

では、自分が感動したもの・好きなものを撮っていれば、それでよ
いのでしょうか?

必ずしもそうではありません。

多くのアマチュア写真家は、「自分が好きなもの」を撮っています。
例えば、花とか、動物とか、スナップ、ポートレイト等です。

しかし、そのように好きなモノだけを撮っている人に写真作品を見
せていただいても、何故か心が揺り動かされないことが多いのです。

何が欠けているのでしょうか?

それは、多くのアマチュア写真家が、好きなものを単に数多く撮り
続けているだけで、そこに骨太なテーマが存在していないからです。

「出会うものは何でも撮りたい。撮り続けたい」という姿勢は必ず
しも悪くはありません。そのような写真スタイルで素晴らしい作品
を残す方もおられます。

ただ、そのような方は、その人の写真からは強烈な個性が発散され
ています。「何でも撮っている」ように見えて、その人の思想・骨
太なテーマが一本通っているからです。

ここで、あなたの写真に骨太なテーマが、ズシっと一本通っている
か、自問自答してみてください。






ここで再び第6号で紹介した戦場写真家・ナクトウェイの言葉に学
びたいと思います。彼は自身のテーマについて以下のように語って
います。
(<http://www.mediasuits.co.jp/senjo/>から引用)

 「Q 世界中に多くの問題がある中でいつも何を基準にして取材
  対象を決めているのか」

 「A 1つのテーマを決めて撮っている。一般に何でも撮るとい
 う写真家になることには興味がない。目的を持った写真家になり
 たいと思っている。人々に感心を持ってもらいたい事をテーマに
 している。何らかの戦いがあるもの、我々の人生にとって最も基
 本的なことと戦っているものを対象に撮っている。日ごろ当然と
 考えていること、例えば食べ物であるとか市民としての権利を勝
 ち取る為に戦っている人に焦点をあてて撮っている。そういった
 テーマを扱うことによって、写真家として、社会的な価値がある
 仕事が出来ると考えている。」

この思想には、彼自身の人生観が織り込まれています。
これが、第一の心得で述べたナクトウェイの信条や理念のベースで
あり、ここから彼の様々なテーマが生まれたのではないでしょうか?

参考までに、ベトナム戦争とアメリカ公民権運動が、彼が写真家に
なる決断を後押ししたとのことです。

自己が定まり、その上で写真のテーマが定まれば、自分が伝えたい
骨太なメッセージが定まります。ナクトウェイのように控えめな語
り口であっても、そのメッセージを語ることにより、写真という手
段を用いなくてもその想いを他人に伝えることができます。

さて、テーマを定めるには、ナクトウェイも言っているように、自
分が得た衝動を出発点に、一つのテーマに落とし込む必要がありま
す。

他の誰もが撮っていない深いテーマに到達し、時間をかけて撮影す
ることで、写真がなくても何時間でも語ることができる程、精通す
ることが理想です。

実際に、一般に一つのテーマに落とし込む方法として、主題を細か
く分解していくという、要素還元主義的な手法が考えられます。

しかし、衝動をベースにした自己表現の世界では、この方法はちょ
っと当てはめられないのではないか、と感じています。アートにお
ける自己表現の活き活きとした世界が、この方法では失われてしま
うのではないでしょうか?

では、衝動を得た後、どのようにテーマを絞り込めばよいのでしょ
うか?

私は、「言語化」という手法が非常に有効だと思います。

次回はその辺りから始めていきたいと思います。

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【『風の写真館コレクション』、登録受付中】

今週の『風の写真館コレクション』では、先週当メルマガでご紹介
した作品、「深紅の空に浮かぶ車と人 - 城南島、1987」をお送り
しました。

こちらでご覧いただけます。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/News/collection-002.html>

登録・解除とバックナンバー閲覧は下記で。
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【あとがき:皆様へのお願い】

今回、皆様に一つお願いがあります。

おかげさまで新メルマガ『風の写真館コレクション』は好評をいた
だいていますが、できる限り多くの方々にご覧いただきたく思って
おります。

そこで、是非この機会に、ご登録をお願い申し上げます。
登録は下記です。
<http://www.takahisanagai.jp/collection/collection.html>

実は個人情報保護のために、メルマガ発行者は読者のアドレスが分
からない仕組みになっています。

つまり、私が代理で皆様を一括登録することができないのです。

お手数をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。

ではまた来週。

                          永井孝尚

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発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>

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