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■■■■『プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーへ!』■■■■
上を目指すアマチュア写真家のためのメルマガ
                     <http://www.takahisanagai.jp>
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■■■今週のポイント■■■
改めて「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」と「アート
的プロフェッショナルフォトグラファー」の違い、それは
 ・クライアントが中心か?
 ・自分自身が中心か?
ということです。
→ここを押さえると、両者の違いがよく分かってきますよ。

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第004号:2004/02/15
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■■■目次■■■
【前号のポイント】
【第一の心得:写真はライフワーク その1】
【皆様の声】
【今週の壁紙】
【あとがき:私は大崎さんを応援します】

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【前号のポイント】

●プロフェッショナル・サンデー・フォトグラファーの心得は、..

【第一の心得】写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段
 と捉え、「写真とは何か?」を考え続けている
→写真をライフワーク・自己表現手段として考えているのか、又は
 単なる趣味として考えているのかが分かれ目
→「写真というメディアを介して自分の価値観をいかに表現できる
 か」、「そもそも自分にとって写真とは何なのか」という答えを、
 常に問い続ける


【第二の心得】数十年という人生の中での長い時間スパンで、自分
 だけのテーマを追い続け、撮り続ける
→本来、作品とはかけがえのないものであり、自分にしか作れない
 もの。 その一方、人生はあまりにも短い。
→写真のテーマを問い続け、撮り続けることは、この短い人生の中
 で写真を続ける意味を探し求めること


【第三の心得】最高の作品を作る道具として撮影機材には拘る。し
 かし、機材には溺れない
→最高の写真を撮り続けるためには、やはり撮影機材は重要。しか
 し、機材はあくまで作品を撮るための手段であり、目的ではない


【第四の心得】自分の選んだテーマでは第一人者としてプロと同等
 の技術を持つ。但し、技術が全てでないことも知っている
→偶然に任せるのがアマチュア、必然に撮れるのがプロフェッショ
 ナル・サンデー・フォトグラファー
→撮影の前の様々な準備(構想力・調査力・企画力等)、撮影時の
 集中力、撮影後の反省力が必須。これ全体で「技術」
→一方で、技術だけでは成り立たない。「これを写真で表現したい」
 という強い衝動・情熱が、写真を撮る原動力


【第五の心得】自分の作品に一番厳しい批評家は自分である。作品
 セレクションが撮影以上に大切と知っている
→アートとは自分の価値観が評価軸。だからこそ、自分自身で作品
 に対する厳しい姿勢が求められる
→世の中に作品を出した後は、一切言い訳はできない。プロフェッ
 ショナル・サンデー・フォトグラファーは作品の隅々に全責任を
 持つ必要があります。
→作品セレクションは、自我(エゴ)との闘い


【第六の心得】作品発表の場を、自分で創る
→厳しい他人の評価に作品を晒してこそ、作品は進化する
→常に作品発表を考えて写真を撮り、積極的に作品を発表すること
 により作品は高まる


【第七の心得】そして何よりも、写真を楽しむ
→「あることを知っている者、それを好きな者も、楽しんでいる者
 には及ばない」
→「何故、自分は撮るのか?」を考えてみることはとても大切


ということでした。

詳しい前号の内容は、下記をクリックください
<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp03.html>

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【第一の心得:写真はライフワーク その1】

今回から数回は、第一の心得である、

『写真を趣味ではなく、ライフワーク、自己表現手段と捉え、「写
真とは何か?」を考え続けている』

をご説明します。

最初に、改めて「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」と
「アート的プロフェッショナルフォトグラファー」の違いについて、
第2号で取り上げた内容をもう少し深く掘り下げます。

●まず「職業的プロフェッショナルフォトグラファー」です。

言うまでもなく職業的プロフェッショナルフォトグラファーは写真
で生計を立てています。つまり写真を撮影し、その見返り・対価と
して金銭的報酬を得ています。

そのお金は広告主等のクライアントが出しています。

職業的プロフェッショナルフォトグラファーは、常にクライアント
の要望に合った写真を確実に提供することを考えています。

つまり、最優先されるのはクライアントの要望です。

ほぼ全ての職業的プロフェッショナルフォトグラファーは写真が大
好きでこの道に入っています。

しかし写真家が仕事で自己表現するには、大前提としてクライアン
トの要望を満たしている必要があります。言い換えれば、自分の価
値観だけを追求しても、クライアントの要望を満たさない限り、対
価は得られません。

従って、「お客様が満足し評価していただけるか?」という点がカ
ギです。

例えてみれば、

「お客様はこのようなものを求めています。従って、このような機
能の製品を、この期日、この市場に対して、この時期までに開発し
て下さい。但し目標を達成すれば食い扶持は保証します」

という厳しい課題を与えられた、モノ作りが大好きな製品エンジニ
アのような立場です。

考えてみれば、会社勤めの方は、皆このような環境でお仕事をされ
ていますよね。

会社勤めをしているか、フリーなのかは別として、職業的プロフェ
ッショナルフォトグラファーも同じ環境にいます。

このため、職業的プロフェッショナルフォトグラファーの中には、
アートとビジネスの狭間のジレンマを感じる人もいます。

私の知合いの職業的プロフェッショナルフォトグラファーのうちの
何人かは、このジレンマに納得できず、写真で生計を立てるのを止
めた人がいます。(このうち一つの事例を第2号に書きましたので、
下記を参照ください)

<http://www.takahisanagai.jp/photoexhibition/psp/psp02.html>

そのような状況の中でも、活躍している方は、クライアントの要望、
自分の技術、自分の価値観の中でうまくバランスを取ろうとされて
います。

ある知合いの職業的プロフェッショナルフォトグラファーの方は、

「確かにお客さんの要望が第一。それを確実にモノにする技術が売
り。しかし、さらにその中で、いかに自分の価値観を表現するかが、
オレ達プロのプライドなんだ」

と語っていたのは、とても印象深く記憶に残っています。


●もう一方の「アート的プロフェッショナルフォトグラファー」で
す。

自分の写真にお金を払ってくれるクライアントが存在する職業的プ
ロフェッショナルフォトグラファーに対し、アート的プロフェッシ
ョナルフォトグラファーは自分の写真にお金を払ってくれる人はい
ません。(作品として写真を購入する人がいる場合がありますが、
これはクライアントの個々の要望に合わせて写真を撮っている訳で
はないので、ここでは除外します)

逆に言えば、クライアントの要望から離れて自由に自己表現できる
のが、アート的プロフェッショナルフォトグラファーの特権です。

従って、自分の価値観をいかに写真というメディアを介して表現で
きるかがカギです。

アート的プロフェッショナルフォトグラファーの見返りは作品その
ものであり、それが社会的に認められ、金銭的報酬に繋がるかは、
本来は二の次です。金銭的報酬とは関係ない世界でアートとしての
写真を追求しているのですから、「食っていけない」のが通常の状
態です。

アートとしての写真は、「その人の生き方そのもの」です。つまり、
自分の表現意図を十分に表現でき、自分の基準で評価できるか、と
いう点がカギです。

例えてみれば、

「自分の時間を自由に使い、自分の理想の製品を作ってやるぞ。し
かし、食い扶持は自分で別途稼いでやる」

というエンジニア魂に燃えた技術者のような立場です。(実際には、
このような技術者は希少で貴重な存在かもしれません)

さて、残念ながらアート的プロフェッショナルフォトグラファーと
して作品だけで食っていける写真家は世の中ではごく一握りです。

一方で、日本は世界で一番アマチュア写真家人口が多い国です。

日本は全世界にカメラを供給しており、カメラ普及率は非常に高く、
大抵の家にはカメラが1台、場合によっては数台あり、大きなイベ
ントがあると皆カメラを持ってきて撮影します。

世界全体から見ると非常に高い経済的豊かさがあり、また識字率ほ
ぼ100%という、世界には例を見ない高い知的水準を持った国で
す。

つまり、写真文化を生み出す土台が世界で一番整っている国です。

このような国だからこそ、アマチュア写真家がアート的プロフェッ
ショナルフォトグラファーとして写真文化を創造できると思いませ
んか?

しかしながら、休日には必ずカメラを持ち歩き、あらゆる被写体を
追いかけ、労力をかけて一生懸命撮り溜めても、必ずしもアマチュ
ア写真家がアート的プロフェッショナルフォトグラファーになれる
訳ではありません。

意識がアマチュアのレベルに留まっている限り、例え多大な時間と
労力をかけても、表現者としての写真家にはなれないためです。

どうすればよいのでしょうか?

次回は、その辺りから始めたいと思います。

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【皆様の声】

前号でご意見を募集したところ、多くの方々からご返事がありまし
た。いくつかを紹介します。

●『最近、自分の写真に対する気持ちがわからなくなっており、曖
昧でした。サンデーフォトグラファーの定義には大変共感を覚えま
した。これからも、自分の写真を考えていきます。ありがとうござ
います。』(みむさん)

→みむさん、こちらこそ、ありがとうございます。実は、「プロフ
 ェッショナル・サンデー・フォトグラファー』という言葉を定義
 したものの、ここ数ヶ月間、どの程度皆様に受け容れられるのが
 分からない状態で準備を進めてきました。このようにご返事をい
 ただくことが何よりも励みになります。感謝です。


●『写真関係のメールマガジンを探していて出会いました。大変重
い内容だと思っています。私は物事を始めると、その道の求道者の
様になってしまい楽しむということから外れてしまいがちです。ど
ことなく私の求めている内容に近いと思います。私は将来プロにな
るなどとは考えていませんが、他人に写真を見てもらったときに、
よい写真だとかあの人は写真がうまいなどと言われるようになりた
いと思っています。今の僕にはこのマガジンにかいてあることが出
来るようになるのが当面の目標としてもいいと思っていますが、簡
単じゃない』(KSさん →お名前はいただいたのですが、イニシ
ャルで紹介させていただきます)

→私もかなり凝り性で、つい求道者の様になってしまうのですが、
 やっぱり楽しくできるのが最高ですね。このメルマガに書いてい
 るのは、私自身の目標でもあります。なかなか難しいと思います
 が、一緒に頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。


●『教えて頂いていますが、多少難解です。全くの素人です。少し
は理解できるようになれば内容は濃いのでしょうが、ついて行けれ
ばいいのですが。そんな読者も熱心に読ませて頂いています』
(匿名希望)

→ううむ、確かに写真を始めたばかりの方にはちょっと難しいかも
 しれませんね。ただ、写真以外でもプライベートな活動も活発に
 なさっている方にも共感いただける内容にしたいと思っておりま
 す。もっと分かり易くなるように努力いたします。(^^;)ゞ

→ううむ、私の力不足ですね。確かに写真を始めたばかりの方には
 ちょっと難しいかもしれませんね。ただ、写真以外でプライベー
 トな活動を活発になさっている方にも共感いただける内容にした
 いと思っております。もっと分かり易くなるように努力いたしま
 す。(^^;)ゞ


皆様からご意見をいただき、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。


●本メルマガは、読者の皆様と一緒に作っていきたいと思います。
是非あなたのご意見・ご質問・ご要望を聞かせてください。
(記入は1−2分程度です)

<http://www.formman.com/form.cgi?gOifBUg2nMuZ8wtt>

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【今週の壁紙】

1週間期間限定で1024×768の壁紙をご提供しています。
(注:必ず下記『著作権及び利用規程』をご承諾の上利用下さい)
<http://www.takahisanagai.jp/copyrights/copyrights.html>)

今週の壁紙は、「風の景色」から"Farukolufushi, Maldives, 1990"
です。クリスマスの時期でも、赤道上では常夏の暑さでした。ビー
チで寝そべりながら、ふと頭上を見ると、椰子の葉の緑がまぶしく
感じました。

<http://www.takahisanagai.jp/wallpaper20040215/sw10px.html>

このページは2月21日にアクセスできなくなりますので、お早めに。

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【あとがき:私は大崎さんを応援します】

2月8日、東京国際マラソンで市民ランナーの大崎悟史さんがケニ
ア出身のダニエル・ジェンガ選手に3秒差の2位になり、五輪候補
に急浮上したというニュースがありました。

実は私、このニュースを知って非常に感動致しました。

大崎さんは、高校・大学は陸上の名門校で活躍されたそうですが、
実業団の誘いを断り、陸上部のない企業に多忙な営業として勤めな
がら、会社の資金援助なしのフルタイム勤務で練習を続けたそうで
す。

トップ選手が月1000キロ走りこむところを、残業もある大崎さ
んの練習は夜7時から10時の限定で月500−600キロが限度。
そのかわり非常に密度の濃い練習を続けられるそうです。合宿も菅
平で夏休みに1週間行く程度とか。

素晴らしいですね。

このような方がおられること自体、「プロフェッショナル・サンデ
ー・フォトグラファー」を目指す私達にとって大いに勇気づけられ
ます。

「仕事を言い訳にしたくない」

という大崎さんを、五輪選手に選ばれるかどうかに関係なく、私は
陰ながら応援致します。

ではまた、来週。
                          永井孝尚

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発行人:永井孝尚 <mailto:mail@takahisanagai.jp>

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